飯田哲也氏 エネルギー進化論その1 2012年01月23日
自然エネルギーの現代の旗手とも言うべき”飯田哲也氏”の「エネルギー進化論−第4の革命が日本を変える」が出版された。・・・ちくま新書(780円)
最近の飯田氏、昨年の3.11以来各所で引っ張り凧の状態で、多忙の中で、一体何時執筆しているのか?と思うほど新刊の書籍類が目白押し。その中でも今回の「エネルギー進化論」は非常に判り易く、このところの彼のセミナーの内容が良くまとめられていて読み易かった。
その中の序章で、「自然エネルギー会議派への反論」が展開されている。判り易く興味深いので抜粋してご紹介する。
@自然エネルギーのコストは高い。⇒資源エネルギー庁の試算では、太陽光発電のコストは1kwhあたり49円とされている。これは原子力発電の約8倍。家庭用の電気料金は1kwhあたり15円程度だから、太陽光発電は3倍のコストになる。そもそも先進国の中でも高く(OECD、30ヵ国中8番目)、さらに高い値段になれば、国民の生活を圧迫し、国内産業が競争力を失う。
確かに、太陽光や風力などの自然エネルギー源は無料で使用できるが、電力として利用が可能な形にするには、莫大な設備投資が必要になる。投資を回収するには長い時間がかかるし、採算が合わないのであるから、自然エネルギーを普及させるためにはほじょきんが必要不可欠となる。財政の再建をすすめなければならないリーのに、補助金を必要とする自然エネルギーは非現実的。
他方、原子力発電や火力発電の場合は、発電設備が既に整っているため、莫大な初期投資は不要。初期投資とランニングコストと言う点で、自然エネルギーは採算が合わないから、自然エネルギーに依拠した電力体制を実現させる事は不可能。
<@に対する反論>
自然エネルギーは高いという主張は、4つの点で正確。
第1に「高い」という場合、太陽光発電だけを対象としているが、風力や地熱発電等の他の自然エネルギーは、化石燃料や原子力と遜色ないコストに下がっている事実を無視しています。第2にその太陽光発電も近年の低コスト化を考慮していないと言う点で、これも不正確。「太陽光発電が49円/kwh」というデータは、いささか古いデータであり、急速にコストが下がっている最新の現実を反映していません。
現在では、欧州では20円/kwh前後、日本でも30円/kwh前後まで低コスト化が進み、さらに低コスト化が加速しています。
同様に太陽光発電を導入すると「電気料金が3倍になる」という批判も、全くの杞憂にすぎません。資源エネルギー庁の試算でさえ、2020年でせいぜい5%程度の値上がりと予想されています。これは、太陽光発電のコストが下がっている要素に加えて、今後普及につれて益々下がって行く傾向にある為です。そもそも日本の電気料金が高い最大の理由は、特定の電力会社によって地域独占が行われ、電力市場に競争原理がまったく働いていない事が主な理由です。
第3に、発電コストを考えるときには、相対的な視点が大切。今後化石燃料や原子力コストがどう変動するかによって、自然エネルギーが高いのか安いのか、コストの妥当性が判断されるべきなのです。原油は過去10年で5倍も高騰しましたし、今後も乱高下しつつも高騰して行く可能性が高いと思われます、石炭も天然ガスも、中国などの途上国の需要が急増しつつある今、原油高騰のあとを追いかけると思われます。そこに温暖化のコストも載ります。原子力も核のゴミの処理や今回の事故補償などを発電コストに載せれば、とんでもない高コスト電下になる事は明らかです。
第4にそれに対して、歴史が証明しているとおり、小規模分散型の自然エネルギーの分野では、太陽光発電と風力発電を代表例として設備が普及する事でコストが急激に下がります。これを技術学習効果と言います。今後も、スケールメリットと技術学習効果によって、自然エネルギーの発電コストは下がる事が確実視されている。
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