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後退する民主党の気候変動政策(環境エネルギー政策研究所リポート) 2011年02月26日

鳩山小沢菅.bmp2/25の上田市における「環境エネルギー政策研究所」飯田所長の講話を聴いて深く感化された。同研究所のHPに面白いレポートがありましたのでご紹介いたします。
「後退する民主党の気候変動政策」(前略)

民主党政権の環境政策の後退は、自然エネルギーの「全量固定価格買い取り制度」でも見られる。これは太陽光や風力などを利用して発電された電気を電力会社が購入し、そのコストを電力料金に上乗せして国民全体で負担を分かち合う仕組みだ。しかし制度設計を経産省の官僚が主導し、政治家の力不足で官への依存が増している。

■欧州の成功例に刺激され導入
全量買い取り制度は欧州主要国で導入された。ドイツでは太陽光発電が急速に伸び、同発電パネルの生産量は2006年に日本はドイツにトップの座を明け渡した。

自然エネルギーは現時点で発電コストが高くなりがちだ。技術革新と普及による生産の拡大によって長期的にコストは下がるが、これまで経産省は買い取り制度に消極的であり、一方で民主党は導入を主張していた。

ところが政権交代の直前、経産省は09年8月に家庭用電力向けの余剰電力買い取り制度を導入。そして民主党政権になってから、風力など事業目的の発電も対象に広げる全量買い取り制度を検討している。

しかし官僚主導の制度設計は行き詰まりを見せる。日本経団連は電気料金上昇を懸念して猛反対し、「環境税実施と同時に実施されれば素材産業に大打撃を受ける」(幹部)と唱える。

自然エネルギー事業者の失望も大きい。経産省は太陽光以外の買取価格を1キロワット当たり15〜20円に設定する意向だ。価格を引き下げる狙いとみられるが、自然エネルギーは種類や地域で発電コストが異なるため、一律の設定にそぐわない。こうした状況下で制度の設計の先行きは不透明だ。

■制度作りを官が促進する
民主党政権は「政治主導」を唱えるが、一連の自然エネルギー政策では政治家の姿は見えず、折衝や調整の主役は経産省官僚だ。「官僚が自らの影響力が増す仕組みを作り、エネルギー政策の『囲い込み』をしている」。民主党の環境政策のブレーンで環境エネルギー政策研究所の飯田哲也代表は現状を分析する。

飯田氏によると、買い取り制度をめぐる議論には「官の意図的で隠れたサボタージュ」があるという。経産省が出す資料には既存の電力網に自然エネルギーを組み込む費用を高めに算出し、技術革新を考慮しないなど、専門家が見るとおかしな設定が数多く記されているという。「『20世紀型エネルギー体制』、つまり原発の利用、事業者の地域独占、経済効率優先という今の形を部分的に作り直した上で存続させようとしている。CO2を大量に排出し、官僚の権益を守るという、これまでのエネルギー政策の失敗を繰り返しかねない」と飯田氏は指摘する。

民主党政権の「政治主導」は外交、税制、経済政策など多くの場面で失敗を重ねた。自然エネルギーをめぐる政策でも政治の力不足で生まれた空白を官僚が埋め、新しい形の官僚支配が生まれつつあるのかもしれない。(オルタナ編集部=石井孝明)2011年1月18日
.民主党政権は昨年12月に国内排出量取引制度の先送りを決めた。具体的な政策を欠いた「温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減する」という政府目標の達成はおそらく不可能だろう。この混乱はなぜ生まれたのか。

■反発で妥協案を引っ込める

環境省(東京・霞が関)
排出量取引は、企業の温室効果ガスの排出に上限(キャップ)を定め、その過不足分を売買して削減を促す仕組みだ。EUでは2006年から実施されている。民主党政権は09年3月に地球温暖化対策基本法案でこの取引を「1年以内を目途に実施する」とした。ところが昨年12月の関係閣僚会議では期限を設けずに「検討する」とし、事実上先送りした。

この制度には産業界が「キャップは企業活動に制約を加える」と猛反発。制度設計を担った環境省は「企業が自主的に目標を設定する」などの妥協案を出したが、意見はまとまらなかった。菅内閣は経済再生を目指す「成長戦略」を打ち出し、産業界との協力を重視。そのために同制度を先送りしたのとみられるが、政策の転換は唐突で、政権から国民への明確な説明はない。

排出量取引について、民主党の政策ブレーンの一人で環境エネルギー政策研究所の飯田哲也代表は削減効果があると主張する。飯田氏によれば、日本の産業部門の温室効果ガスの排出量は全体の35%を占めるが、その半分を約150社が出す。「限られた企業へのキャップ設定は効果が確実にある。それなのに反対に直面すると引っ込める政権の態度からは、問題へ取り組む真剣さがうかがえない」と指摘する。

■政治が民間の知恵を使いこなせない
飯田氏は民主党の動きを間近で見て「3つの誤りがあった」と指摘する。「既存の官僚組織に依存」「人事の失敗」「政治任用の失敗」だ。党内に環境、エネルギー政策の専門家が少なく、この分野の政策を立案した岡田克也議員が外務大臣、幹事長などの別の分野を担当するなど、人事が適切に行われなかった。

また、政治家と政治任用による有識者のプロジェクトチームが政策の見直しを外部から行うべきだったのに、その作業を専門性を持つ官僚に頼ってしまった。「変革の機会を失った責任は大きい」と飯田氏は残念がる。

民主党政権の気候変動政策の迷走を見ると、その力不足は明らかだ。しかし民主党だけが問題なのか。日本のエネルギー・環境政策はこれまで官僚が仕切ってきた。それゆえ政権交代時に、政策の流れを変える機会が訪れても対案を出す準備がなかった。

飯田氏は語る。「世界のエネルギー・環境政策は、社会や文明のあり方についての哲学や深い思索から生まれている。再生可能エネルギーの拡大、原発の見直しはその表れだ。これは権益を考える官僚が主導する日本にはない。日本社会の抱える『知の貧困』が、この状況を生んだのではないか」。

民主党の失態は、日本の政治文化の未熟さから生まれた根の深い問題なのかもしれない。(オルタナ編集部=石井孝明)2011年1月27日